近年日本のマスコミに注目されている問題が、「日本の貧困」問題です。
この問題は近年発生した問題ではありません。
これまでに多くの人々が苦しんでいたものですが、2000年に入って世帯間の経済格差が深刻となった結果、注目されるようになったのです。
目次
日本における貧困層
日本における貧困層とは、2015年時点において122万円以下の世帯所得と目されています。
これは、税金や社会保障費を差し引いた金額です。
2003年の調査では、この世帯の割合は14.9%でした。
ところが2016年においては16.1%にまで増加しています。
政府はこうした世帯に補助金や就職のあっせん、子育て支援といった複数の支援が必要です。
貧しい家庭の割合が減らない理由
貧しい家庭の割合が減らないのには、いくつかの理由があります。
この理由のひとつに所得格差の問題があげられていることは、よく知られていることです。
資本主義が公正に働いているのであれば、経済的に豊かな人から社会保障や税金が政府によって徴収され、所得が再分配されるはずと言われています。
ところが日本企業の雇用問題や社会的不況といった問題から、富の再分配が機能せず一度貧しい生活に足を踏み入れてしまうと、通常の生活に戻りにくいという現状が見られているのです。
ジニ係数について
総務省ではこの所得分配の不平等さを表す係数を、「ジニ係数」としてホームページで告知しています。
ジニ係数は0に近いほど公平な分配がされているという証となりますが、ここ数年は上昇傾向にあり、所得格差が深刻であることがわかるでしょう。
子どもの貧困対策への援助の動き
こうした中で、「子どもの貧困対策」への援助の動きが見られています。
現在の日本の7人に1人は貧しい家庭の子どもであると言われているのです。
社会的体験などに乏しい子どもたちは、地域や社会から孤立しやすくなり結果的に貧しさの連鎖を生み出すことになります。
こうした子どもへの支援は、日本財団やその他NPO団体が積極的に取り組んでいる最中です。
所得格差に関係なく、子どもには平等に教育を受ける権利があります。
こうした財団やNPO法人は、その機会をサポートし支援を行っているのです。
「スタディクーポン」による教育サービス提供や大学生のボランティア、無料学習塾や居場所提供といった活動が注目されています。
女性の貧困対策も政府の課題
同じように、「女性の貧困対策」も今後の政府の取り組むべき課題と言えるでしょう。
いわゆる勤労世代とされる20代から60代までの独身女性のうち、3人にひとりが貧困とされる状況です。
これは65歳以上の女性となると、2人に1人の割合にまで高まります。
彼女たちは人として当たり前とされる働くことや、社会との交流が持てない状況にあるのです。
貧しさの問題には必ず「ガマンするべき」という声があがります。
ですが、実際に日本で普通の生活を送るだけでも医療費や住宅費・交通費が発生するのです。
これすらも支払うことが難しいという世帯が存在することを、忘れてはいけません。
非正規雇用の多さにも一因がある
女性の貧しさの原因は、その非正規雇用の多さにも一因があります。
出産や育児などに携わる女性は、正規雇用が難しいのが現状です。
日本では加えて女性の管理職の少なさが指摘されます。
昇給の幅が低く、所得が低いままの場合貧しい生活を送ることになってしまうのです。
非正規雇用における問題は20代の男女に共通していますが、30代ともなると女性の貧しい人々の割合は男性の数値よりも上回ります。
結婚せず自分の所得だけで生活するには、苦しい状況の中で生きていかねばならないのが現状です。
ハローワークや市区町村レベルで就職支援を行う
日本政府はこうした女性たちに対し、ハローワークや市区町村レベルで就職支援を行っています。
シングルマザーのための「マザーズハローワーク」は、母となった女性に配慮した職場を紹介することが出来ます。
「地域少子化対策重点推進交付金」「ひとり親家庭等日常生活支援」は、手当や控除が発生する制度です。
訪問型保育制度やベビーシッター紹介制度などは、積極的に利用したい制度と言えるでしょう。
こうした動きはさまざまな業界でも導入されつつあります。
託児所の普及や女性の積極的な雇用は、現在トラック業界や高齢化問題を抱える業界で普及しつつあるのです。
NPO団体は性被害やDVから守るシェルターや婦人保護施設を展開しています。
シングルマザーだけではなく、心身が疲弊した女性でも利用できる場所を用意する必要があるのです。
まとめ
単身の女性を保護する法律は、現在「売春防止法」と2001年に制定された「DV防止法」しかないのが現状と言われています。
病気や精神疾患、困難を抱えた人々が生活をつくり直すことが出来る場所を確保することは、非常に大切なことなのです。
今後も政府レベルでの援助が求められます。
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日本ユニセフ協会 | 「世界手洗いの日」プロジェクト
最終更新日 2025年4月22日