設備業界でキャリアを積む中で、「もっと安定した環境で長く働きたい」と思ったことはありませんか?
私は元・設備管理会社の施工管理技士として15年間現場を歩き回り、その後この業界のキャリアを発信するライターになりました。山田健一と申します。現場を経験した人間だからこそ、「安定している」という言葉がどれほど重要か、身に沁みてわかります。
設備業界に転職を考える人からよく聞くのが「サブコンかビルメンか、どちらに行くべきか」という悩みです。その問いに対して、私がいつも紹介したい選択肢の一つが株式会社太平エンジニアリングです。
この会社は、一言で言うと「サブコン(建築設備工事)とビルメン(建物保守管理)を両方やっている珍しい会社」です。その独自性が、なぜ安定につながるのか。今回は企業情報から口コミ、働き方まで、現場目線でしっかり解説していきます。
目次
太平エンジニアリングとはどんな会社か
創業76年、東京・本郷に本社を置く総合設備会社
太平エンジニアリングは1949年(昭和24年)に創業した、歴史ある建築設備の総合エンジニアリング企業です。本社は東京都文京区本郷(東京ドームのすぐそば、水道橋から徒歩約5分)に構え、代表取締役社長は後藤悟志氏。資本金は約4億9千万円で、連結従業員数は2,285名(2025年4月現在)。直近の売上高は連結で838億円(2025年3月期)に達しており、設備業界の中でも相当な規模感を誇ります。
グループ全体では太平ビルケア、太平エンタープライズ、協栄空調、徳壽工業など20社以上の関係会社を持ち、不動産・外食・ゴルフ・保険・海外事業まで多角的に展開しています。
事業内容はここが特徴
太平エンジニアリングの最大の特徴は、建物の「ライフサイクル全体」をカバーするワンストップビジネスモデルです。具体的には以下の事業を軸にしています。
- 空調設備の設計・施工(オフィスビル、病院、工場、商業施設など)
- 給排水・衛生設備の設計・施工
- ガス関連設備の設計・施工
- メンテナンス・サービス事業(ビル総合保守管理)
- リノベーション事業
- 電気・防災・水処理設備の設計・施工
- 清掃・受付案内・駐車場管理業務
同社の採用情報によると、工事部門とメンテナンス部門の売上比率はおよそ5対4。建設不況が訪れても、メンテナンス部門がしっかり収益を下支えする構造になっています。これが、後述する「安定性」の根幹です。
なぜ「安定したサブコン」と言えるのか
ポイント①:工事とメンテナンスの二本柱
純粋なサブコンは、新規建設工事の受注に依存する部分が大きく、景気の波をモロに受けます。しかし太平エンジニアリングは工事完了後も「ビルのオーナーとの直接の繋がり」を活かしてメンテナンス契約を継続受注できる体制を持っています。
建設転職ナビの掲載情報によると、近年は自治体の学校空調事業をメンテナンスとセットで受注するなど、「ストック型受注」を着実に拡大しています。一度契約が決まれば長期継続が前提となるメンテナンス案件は、売上の安定に大きく貢献します。
経常利益率は5%以上という財務体質を実現しており、「財務が安定しているため利益確保のために人員を削るようなことはしない」というメッセージが採用情報からも伝わってきます。平均勤続年数は約18〜20年という数字もあり、長く勤め続けている社員が多いことがわかります。
ポイント②:豊洲市場・東京国際フォーラムなど有名施設の実績
同社が設備管理を担当している施設には、豊洲市場、東京国際フォーラム、ららぽーとTOKYO-BAY、東京ドームホテルなどが挙げられます。こうした「誰もが知っている有名施設」の設備を継続管理しているという事実は、営業力・技術力の高さを示すと同時に、安定した受注基盤の証明でもあります。
ポイント③:AIやIoTへの積極投資
同社はドローンやIoTを活用した点検の自動化、VRを活用した営業提案、AIを活用した設備点検など、テクノロジーへの投資を積極的に進めています。「AIに仕事を奪われるのでは」という懸念を持つ人もいるかもしれませんが、社員からは「工事からメンテナンスまで幅広く行っている会社なら、AIに取って変わられることもなく安定して長く続けることができる」という声もあります。
職種と働き方:どんな仕事ができるのか
主な職種
太平エンジニアリングには大きく分けて以下の職種があります。
| 職種 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 施工管理職 | 空調・給排水設備の新築・改修工事の現場監督。施工図作成、工程管理、協力業者の手配など |
| メンテナンス職 | 建物保守管理のフロント担当。年間点検スケジュールの提案・手配・報告、リフォームコンサルなど |
| サービスエンジニア職 | 建築設備の点検・修理業務。設備の予防保全に特化したスペシャリスト職 |
| 設備管理(常駐) | 特定施設に常駐し、空調・電気・給排水などの運転管理・監視・点検業務を担当 |
施工管理職は現場ごとに動く仕事ですが、設備管理(常駐)は特定の施設に腰を据えて働けるため、転勤を避けたい人にも向いています。求人票には「転勤なし」「残業月10時間程度」「年間休日120日」という条件が多く見受けられます。
シフト制の勤務形態と休日
設備管理の常駐職は基本的にシフト制(日勤・泊勤の交代制)です。1日勤務すると翌日は「明け休み」となるため、実質的な年間休日は120日+明け休み80日で200日以上になるケースもあります。「3日に1回しか出勤しない」という働き方が実現できる点は、ワークライフバランスを重視する人にとって大きな魅力です。
年収・給与・福利厚生の実態
年収水準はどれくらいか
複数の口コミサイトのデータを総合すると、太平エンジニアリングの平均年収はおよそ420〜466万円というのが実態のようです。役職別の目安は以下の通りです。
| 役職 | 年収目安 |
|---|---|
| 一般社員(入社数年) | 350〜450万円程度 |
| 主任クラス | 600万円程度 |
| 管理職 | 700〜800万円以上 |
給与体系は基本給にさまざまな手当が乗る仕組みです。地域手当(首都圏20,000円/大阪10,000円など)、通勤手当(月額50,000円まで)、時間外手当、資格手当などがあります。特に資格手当は充実しており、「資格を取れば月に4〜5万円プラスになる」という声もあるほどです。
賞与は年2〜3回で、口コミでは「通年で5.3ヶ月分」という実績も確認できます。初任給は大卒で25万円(2025年4月実績)です。
一方で「基本給が低い」という口コミも散見されます。現場常駐社員は各種手当込みでの給与体系になるため、基本給の数字だけ見ると低く感じる場合があります。しかし残業代は原則全額支給で、資格手当の積み上げで収入アップが狙えるという構造です。
福利厚生
太平エンジニアリングの福利厚生として確認できた主な制度は以下のとおりです。
- 独身寮(一部個人負担あり)・借上げ社宅(通勤90分以上の場合、家賃2万円弱が目安)
- 退職金制度(勤続3年以上が対象)
- 企業年金制度(確定拠出年金・確定給付年金)
- 社員持株会
- 育児・介護休業制度(取得実績あり)
- 子の看護休暇(年次有給休暇とは別途付与)
- 子供が3人目生まれた際の出産支援手当(100万円支給)
- スポーツジム無料利用券
- 宿泊リゾート割引
- 誕生日ケーキ配付、お中元・お歳暮時期のプレゼント(お肉・お酒)
「社長からの贈り物が年に数回ある」「福利厚生がしっかりしている」という声が口コミでもよく見られます。独自の手厚い制度が多い印象で、これは長く働く社員が多いことと無関係ではないでしょう。
キャリアアップと資格取得支援
入社後の研修体制
入社後はまず集合研修(ビジネスマナー・会社規程・電話応対など)を受け、その後OJTで業務を習得していきます。技術系の新人研修では先輩社員が講師となり、設備の仕組みを基礎から学べる座学も用意されています。
常駐現場は7〜8名程度のチームで動くため、「一人でトラブルを抱え込む」ことが起きにくい環境です。面倒見の良い先輩が多いという声も多く、「上司や先輩方が面倒を見てくれる」という口コミも複数見られます。
資格取得支援と手当
太平エンジニアリングは、入社後に必要な資格取得を積極的にバックアップしています。主に対象となる資格は以下のとおりです。
- 管工事施工管理技士(1級・2級)
- 建築物環境衛生管理技術者(ビル管)
- 電気工事施工管理技士
- 電気主任技術者
- ボイラー技士
- エネルギー管理士
同社の新卒採用情報によると、管工事施工管理技士とビル管は「入社後に取得していただく」とあり、会社として計画的な資格取得を奨励しています。資格を取得するたびに資格手当が毎月の給与に加算されるため、頑張りが直接収入に反映される仕組みになっています。
キャリアパス
太平エンジニアリングでは「設備メンテナンスだけでなく、設計・施工ができる会社」という強みを活かし、多様なキャリアパスが用意されています。常駐現場で経験を積んだ後は、スペシャリストとして現場責任者を目指すルートと、ゼネラリストとして本社機能・バックオフィスに異動するルートのどちらも選べます。
気になる点・注意点も正直に伝える
ここまでポジティブな面を多く紹介しましたが、口コミを集めると気になる声もあるのが事実です。
- 昇進・昇格の評価基準が明確でないと感じる社員もいる
- 「上司との関係性が昇格に影響する」という口コミも散見される
- 施工管理職では残業が多い現場もあり、部署・配属先によってワークライフバランスに差がある
- 基本給が低めに設定されており、それがボーナス額にも影響する
これらは設備業界全体に共通する課題でもありますが、太平エンジニアリングに特有の点として「事業部・現場によって環境がかなり異なる」という声が目立ちます。施工管理部門と設備管理(常駐)部門では働き方が大きく違うので、入社前にどちらに配属されるかを確認しておくことが重要です。
こんな人に向いている
リサーチを通じて感じた「太平エンジニアリングに向いている人」をまとめると、以下のような人物像になります。
- 安定した企業基盤の中で長く働きたい人
- サブコンの技術力とビルメンの安定性を両方求めている人
- 設備系の資格を積極的に取ってキャリアアップしたい人
- 転勤を避け、特定の施設に腰を据えて働きたい人
- 未経験から設備管理の世界に入りたいセカンドキャリア層
逆に、実力主義・成果主義の評価を強く求める人や、ベンチャー的な雰囲気を好む人には少し合わないかもしれません。どちらかといえば「年功序列・チームワーク重視の伝統的な会社文化」が根底にあります。
まとめ
太平エンジニアリングは、「サブコンとビルメンのハイブリッド」という独自のビジネスモデルによって、業界の中でも際立った安定性を実現している会社です。
連結売上838億円、平均勤続年数約20年、工事とメンテナンスの二本柱による景気耐性——これらの数字は、安定を求めるエンジニアにとって大きな安心材料になるでしょう。
一方で、給与体系や評価制度については「基本給が低い」「評価基準が不透明」という声もあります。入社前に配属部門や現場環境をしっかり確認しておくことが、入社後のミスマッチを防ぐ最大のポイントです。
長く、腰を据えて設備の仕事を続けたい。そんな思いをお持ちなら、ぜひ太平エンジニアリングを転職先の候補に加えてみてください。
最終更新日 2026年2月24日






